ヴォイス〜命なき者の声〜
[第1話]
――東凛大学。01/12放送
掲示板で加地大己(瑛太)と石末亮介(生田斗真)は、合格発表を確認していた。
医学部4年の加地大己(瑛太)は第1志望の「心臓外科学ゼミ」が不合格となり「法医学ゼミ」に合格、同級の石末亮介(生田斗真)も「法医学ゼミ」に合格していた。
「心臓外科学ゼミ」に落ちた大己を「一番人気のゼミだから仕方がない」と慰める亮介。
しかし、大己は「自分が受かっていたのに落とされたのではないか」と疑念を抱いていた。
掲示板に書かれた合格者名の一番下に「加地大己」と書かれている掲示板を見た大己は、思いついたように歩き出した。
ちょうどその頃、医学部4年で「脳神経外科学ゼミ」に合格をしていた久保秋佳奈子(石原さとみ)が「法医学ゼミに異動させてほしい」と、教授にお願いをしていた。
掲示板を見た大己がやってきたのは「法医学ゼミ」の教授の佐川文彦(時任三郎)のところだった。大己は佐川教授に「自分の名前を掲示板から移動させたのではないか」と言い出す。
すると、佐川は「心臓外科学ゼミ」の志望理由を大己に尋ねた。
大己は「人間にとって心臓が最後の砦であり、心臓が止まってしまったらどんな医学も意味をなさないから」と即答する。それを聞いた佐川教授は、「生きている人間だけではなく亡くなった人の声に耳を傾ける医学があってもいいのではないか」と返した。そして、「君は、法医学に向いていると思うから」と述べる。
それから数日後、法医学研究室には大己、亮介、佳奈子を含めた5人のゼミ生がいた。そのほかに、助教授・夏井川玲子(矢田亜希子)の姿も…。
佐川教授はゼミ生に「、法医学の第一義は人の死因を解明することだ」と説明した。そして、「今の日本では制度の未整備などにより異状死した遺体の約1割しか解剖されないが、死者の体はその人が伝えたかった最後の言葉を明確に語りかける」「法医学者にしか聞こえない言葉や声をつなぐのが自分たちの仕事」と教えた。
佐川からの話のあと、解剖室を見学した学生たちは、夏井川から「この解剖室で年間約300体の解剖が行われる」と聞かされる。
そんなある日、南府中署の刑事・大和田(山崎樹範)から連絡がある。「他殺の可能性がある男性遺体の解剖」の依頼だった。
運び込まれた男性は市原(モロ師岡)という名だ。
佐川の解剖を側で見学していた大己らには、さまざまな思いがよぎっていた。
解剖の結果、市原は約30sの落下物が当たったことで死亡したという死因が浮かびあがる。その結果から推測を始めていた。大己は「市原の額が陥没している点」に疑問を覚えた。落下物は普通、頭頂部に当たるのが自然だからだ。「市原の額が陥没したのは宙を見上げていたからに違いない」という結論に達するが、それ以上のことは、解剖からはわからなかった。
大己、亮介、哲平(遠藤雄弥)、彰(佐藤智仁)は、市原の死亡現場を見に行くことに…。
死亡現場である建設中のビルの前にやってくる。
市原はビル屋上からの落下物に当たり死亡していた。膝を地面につけ、手を伸ばして、うつ伏せ状態で…。その姿はまるで祈るに、表情は微笑んでいるように見えたそうだ。
その話を聞きながら、大己は現場に置かれた花束を見つめた。
その後、夏井川から「市原は、額以外にも鼻骨、鎖骨、頚椎、そして左右前腕の外側の骨である尺骨も骨折していた」ことを聞いた大己は、「落下物に気づいて逃げようとしたなら、両腕の外側を骨折することはありえない」と疑問を抱く。
実際に発見された当時の市原の様子をゼミ生が再現してみると、その姿は、まるで天に雨乞いをする人のようだ。
さまざまな情報がフラッシュのようによぎっていく大己。それぞれの点がひとつの線で結びついたとき、ある結論が見えた。
「受け止めたかったんだ――」そう言うと、大己は市原の別れた妻・秀子(美保純)のアパートへと向かった。
そこで、昔、市原と秀子の息子がベランダから落ちて死亡した事実を知る。
市原は自分を責め、息子の死を乗り切れずに、事故からしばらくして離婚をしたという。事件からほどなくして別れてしまったそうだ。
「市原は、最期までかわいそうな人生だった」秀子の言葉に、大己は市原が1人の命を救ったことを話しはじめた。
事件当日、市原はビルの屋上に自殺をしようとしていた小学生を発見したのだ。生きていれば自分の息子と同じくらいの子供が飛び降りたのを目撃した市原は、手を伸ばして、その子を救った。
助かったと思われる子どもに、頭を打った市原は、「自分は大丈夫だから行きなさい」と促したに違いないと。
「その子の命を救うことは市原にしかできなかった。そんな市原さんを自分は凄いと思う」大己の言葉に、秀子は涙を流して礼を言った。
5人は再び現場に戻った。亮介は大己に「いつ、落下物が子供だと気づいたのか」と尋ねると、大己は「最初に現場に来たときから」と答えた。
「事故現場に供えられた花の中に、野原で摘んできたような花束があったことがヒントになった」と大己は続ける。
たくさんの花束のなか、佳奈子は1枚のカードを見つけた。
「ごめんなさい。ありがとうございます」子どもの字で書かれたカードだった…。
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第1話
キャスト
加地大己 / 瑛太(えいた)東凛大学の医学部に所属する4年の大学生。
当初は心臓外科学ゼミを志望し、試験にも合格もしていたようだが、
なぜか法医学ゼミに所属している。
どうやら大学側の都合により配属が変わったようだ。
もちろん大己はこのことを不本意に感じている。
しかし、いざ法医学に触れてみると、社会が法医学を必要としていることを肌身で感じ、
その重要性と奥深さに魅了されていった。
鋭い洞察力の持ち主で、適職とも言える才能を発揮するが、本人にしてみればその自覚は全くない。
一方、私生活の方でも一見イケメン大学生なのだが、
本人が興味を持たない為、意外と女の子からの人気がない。
石末亮介 / 生田斗真(いくたとうま)
東凛大学の医学部に所属する4年の大学生。
この男、総合病院を経営する家庭に生まれた御曹司。
敷かれたレールに乗っていれば何不自由ない生活を送れるはずだった。
しかし、自分には荷が重いと感じ、父親が消化器内科医であることを無視して、
全く関係のない法医学ゼミに入ってしまった。
そんな彼も学校では人一倍明るいムードメーカー的存在。
とにかく女の子が大好きな男で暇があっては女の子に声をかけている。
なかでも玲子に憧れており、もっと仲良くなりたいといつも考えている。
大己とは昔からの親友で、互いが一番の良き理解者である。
久保秋佳奈子 / 石原さとみ(いしはらさとみ)
東凛大学の医学部に所属する4年の大学生。
大学内でもトップクラスの才能の持ち主で、脳神経外科学ゼミの教授からスカウトがあった。
しかし、彼女は当初から希望していた法医学ゼミに入ることに。
彼女が法医学にこだわるのにはハッキリとした理由があった。
その理由とは、幼少の頃に亡くした母の死因が心不全だと医師から告げられたことに対し、
その死因に未だに納得がいっていないからだった。
親を幼い頃に亡くしていることから、気が強くなんでもバリバリこなすしっかりものである。
唯一苦手なことといえば家事全般である。
夏井川玲子 / 矢田亜希子(やだあきこ)
東凛大学の助教授として法医学教室を担当している。
温和でのんびりな佐川の下についても自分のキャラクターは変えず、
はっきりと物を言う性格の持ち主である。
もちろんその姿勢は学生に対しても同じで、常に学生とはクールに接している。
大学教員の中でトップクラスの美人だがなぜか未だに独身。
佐川文彦 / 時任三郎(ときとうさぶろう)
東凛大学の教授として法医学教室を担当している。
法医学に対する情熱は人一倍あり、学生たちには法医学の必要性を常に訴えかけている。
「亡くなった人の声に耳を傾ける」の意義なんとかして学生に伝えたいと日々奮闘中。
しかしひとたび研究室を出ると、その性格はおっとりで常にマイペースなゆったりとした時間が流れている感じの男でもある。
今年の新規ゼミ生5人には密かに期待をしており、その中でも大己の才能には誰よりも注目している。
桐畑哲平 / 遠藤雄弥(えんどうゆうや)
東凛大学の医学部に所属する4年の大学生。
仙台の実家が歯科を経営していたことから、歯科の道に進むべく大学に進学したものの、
当時見ていた監察医の姿を描いた海外ドラマにハマり法医学の道へとシフト変更した変わり者。
今や“法医学オタク”と呼ばれるほどのこだわりを持ち24時間365日、法医学のことが頭から離れない。
しかしこう見えても意外と小心者で肝心な場面で逃げ腰になることも多い。
羽井彰 / 佐藤智仁(さとうともひと)
東凛大学の医学部に所属する4年の大学生。
医学部に合格するほどの頭を持ちながら、元暴走族のメンバーだったというイレギュラーな男。
過去に、羽井本人が関わっていない事件で犯人扱いされたが、その後の司法解剖の結果で羽井が無罪であることを証明された。
司法解剖の偉大さ気がついた羽井はこれを境に猛勉強を始め、医学の道を目指すこととなった。
そしてその努力が実り、今こうして医学部の学生として生活している。
元暴走族ということからやや気が荒いところもあるが、実は熱血家でアツいハートを持っている。
医学部での唯一の苦痛は『解剖研修』。
何度経験しても倒れそうになる。
大和田敏 / 山崎樹範(やまざきしげのり)
南府中署に勤務する刑事の男。
彼が担当する事件の中で、遺体から不審な点や異常個所が見つかった場合に佐川に司法解剖を頼んでいる。
一見、冷静沈着で優秀な刑事に見える男だが、なかなか結婚しない玲子に対して「オマエは結婚できない症候群だ」などとあるまじき発言をして周囲の反感を買っている。
石末貴之 / 名高達男(なだかたつお)
亮介の父親で、自身が経営する石末総合病院の院長を務めている。
将来、息子である亮介にこの病院を継がせようと考えていたが、その息子の反感を買い、
亮介はまさかの法医学ゼミに入ってしまった。
それでも貴之は何とかして後を継がせようとゼミを辞めるよう大学に圧力をかけ始めるのであった。
羽井鳳子 / 濱田マリ(はまだまり)
彰の母親で、普段は沖縄料理店「ちゅらちゃん」を営んでいる。
沖縄料理とはいうものの、メニューは自身の得意料理しか置かないというちょっと変わり者。
いつでも明るく、何に対しても首を突っ込まずにはいられない性格で店に集まる大己たちの会話に首を突っ込んではジャマ者扱いされている。
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