臨場
[第6話]
倉石(内野聖陽)、留美(松下由樹)、一ノ瀬(渡辺大)は、解剖室を出た廊下でストレッチャに乗せられて運ばれてくる急患とすれ違う。その時、一ノ瀬は、走って来た患者の妻にぶつかってしまう。05/20放送
「心臓マッサージも人工呼吸もやったがダメだったんです」と医師にすがりつく患者の妻。その時、患者から“寄木造りの民芸品らしきキーホルダー”が床に滑り落ちた。その周辺には水が滴り、床もキーホルダーも濡れている。
急患の様子を眺めていた倉石の表情が変った――。
留美は床に落ちたキーホルダーを拾うと、「桐岡さん」とその名前を呼んでキーホルダーを手渡す。桐岡(あめくみちこ)も留美の顔を見ると「小坂さん…」と留美の名を口にした。彼女の名前は桐岡素子(あめくみちこ)。留美の知り合いだったのだ。
以前、留美は素子の夫・洋介(須藤為五郎)が路上で心臓発作を起こした時に救命救急を行い、その命を救ったことがあったのだった。今回も、車で帰宅してすぐに新造発作を起こしたらしい…。
一方、新宿のシティホテルで女性の死体が発見される。部屋にある電話の受話器が外れていたことが、死体発見の早期発見につながったという。
倉石らが検視に行くと、倉石を快く思っていない所轄・神田(大河内浩)は「病死」と推理するが、倉石は「頚部圧迫による他殺」と判断する。被害者には圧迫痕も失禁の形跡なかったが、犯人が体の大きい人なら、のしかかるようにゆっくりと圧迫すれば、圧迫痕を残さず殺害可能だと言う。
さらに、部屋にグラスが一つだけ残されていることもおかしいと言い、何者かが犯人の身元を隠すためにグラスを持ち去ったと推測する。
聞き込み捜査で、被害者は昏睡強盗で逮捕歴のある小夜子(小濱なつき)だと判明。小夜子の部屋を家宅捜索で大量の睡眠薬が見つかったことから小夜子は昏睡強盗を働こうとして、逆に殺害されたと推測された。
後日、留美は連絡をする。すると洋介は、あの後、息を引き取ったそうだ。留美は「あとでお焼香に伺います」と声をかけ、電話を切った。
一ノ瀬(渡辺大)は、文(松金よね子)にブルーの制服の洗濯をお願いしていた。素子とぶつかったとき、制服の胸のワッペンに彼女の口紅がついてしまったのだった。
その様子を見ていた倉石は、一ノ瀬の制服を奪い取り、口紅の跡を見て顔色を変えた。
留美は片桐家を訪ねていた。お焼香をあげに来たのだ。桐岡の家には、たくさんの家族写真が
飾られている。一人娘・アスカは近々、外資系銀行のエリートと結婚するらしい。幸せそうな一家だと留美は思った。
倉石は所轄・神田たちに「洋介の指紋を採取するよう」アドバイスする。洋介は巨漢だった。倉石は「洋介が小夜子を殺害した」と思っているらしい。
倉石の見立ては今まで100%的中している。そんな倉石に珍しく留美は「乱暴な推測」と反論した。
一ノ瀬も、倉石の見立ての乱暴さを指摘しつつも、状況証拠をみると可能性はあると倉石の見立てを指示する。倉石は、心臓疾患を持つ洋介が昏睡強盗・小夜子に過度の睡眠薬を飲まされれば、心臓発作を起こしえると話す。さらに、洋介は車で迎えに来た素子に証拠隠蔽を支持した可能性もあると言った。「すべては指紋が出れば明らかになる」倉石は言った。
当初、事件現場のホテルから洋介の指紋は発見されなかった。しかし、倉石は直接現場へ行き、トイレへ。男性が用をたすときは便座を上げることに着目した倉石がトイレの便座を上げると…そこには指紋が付着していた。結果、洋介の指紋と一致する。
倉石は、便座に指紋が残っていたのは、便座を上げて使う習慣がない女性が証拠隠蔽に絡んでいると判断。素子を疑う。
任意で素子に事情聴取をするが、とくに何も出てこなかった。
ところが倉石は桐岡家の家宅捜索をアドバイスしたのだった。
留美は、素子が事件にかかわっているとは信じたくない。留美は倉石に自分の考えをぶつけるが、倉石は「見たくないものには蓋をする、か……」と留美に問いかけた。
桐岡家の家宅捜索が始まり徹底的に調べられた。しかし、何も物証が出てこない。
倉石と一ノ瀬は、洋介が倒れたガレージを捜索していた。そこで倉石は、金属製カバーが外され電子着火装置のない状態の100円ライターを発見する…。
その頃、留美は片桐家の一人娘・アスカと公園で話をしていた。
「いつかは、こんな日が来ると思っていました」そう話すアスカ。アスカは、自分が洋介の連れ子で素子とは血がつながっていないことを留美子に打ち明ける。アスカは女を作っては不倫を繰り返す洋介に我慢しながら自分を大切に育ててくれる、素子を実の母のように慕っていた。
素子の持っていた車のキーホルダーは、アスカのプレゼントしたものだという。
アスカの話を聞いて、あらためてキーホルダーを見た留美は事件の真相に気づいた――。
その夜、素子は逮捕される。
アスカは「帰ってくるのを待っているから」とパトカーに乗せられる素子に声をかけ、民芸品のキーホルダーを手渡した…。
真実はこうだ――
洋介は、小夜子と一夜を過ごそうとホテルに入るが、小夜子は昏睡強盗で飲み物に睡眠薬を混ぜられて眠ってしまう。しめしめと洋介の財布を盗み小夜子が部屋を出ようとすると、洋介が目を覚ます。巨漢の洋介が昏睡するには、睡眠薬の量が足りなかったらしい。
ベッドに押し戻された小夜子にのしかかる洋介。しかし、小夜子に飲まされた睡眠薬が効いてきて、小夜子をゆっくりと圧迫、圧死させてしまったのだ。
小夜子は助けを呼ぼうとベッドの上にある電話に手をかけるも、そのまま息絶えたのだ。
しばらくして目を覚ました洋介は、素子に迎えに来るよう呼んだ。車内に倒れこんだ洋介は、素子に「人を殺してしまった…」と漏らす。
“洋介が殺人犯になればアスカの幸せが駄目になる――”そう考えた素子は、ホテルの部屋に戻ると、グラスを隠し、指紋を拭き取って、証拠隠蔽を図ったのだ。
帰宅すると、洋介は心臓発作を起こしてガレージに倒れこむ。それを見た素子は、長年の洋介への憎しみが沸々とこみ上げてきて、洋介の殺害に至るのだった。
素子は側にあったゴム長靴を履くとゴムホースの付いた蛇口をひねり、洋介の胸に水をかける。そして100円ライターのカバーを外して電子着火装置を取り出すと、水で濡れた洋介の胸に近づけて感電させたのだ。心臓発作で弱っていた洋介の心臓は鼓動を止める――。
娘の幸せを願う、母の悲しい「罪」だった――。
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キャスト
倉石義男 / 内野聖陽(うちのまさあき)警視庁刑事部鑑識課の検死官。死体の目利きに関しては他の追随を許さないほどの鋭さを持ち、わずかな傷跡や証拠の矛盾も指摘する。口癖は、他人の見立てに対しての「俺のとは違うな」。組織にとらわれない豪放で破天荒な性格で、上司にも平気で楯つくため、上層部からは疎まれがちだが、一方で信奉者も多い。
趣味はガーデニングと家庭菜園。かつては結婚していたが、離婚してからは独身のままでいる。
小坂留美 / 松下由樹(まつしたゆき)
警視庁刑事部鑑識課の検視補助官。元は交通課で白バイ隊員として、真面目に働いていた。引き逃げ事件で倉石と知り合い、彼の犯人逮捕に導いた見事な見立てと、死者を身内のように悼むその仕事ぶりに惹かれ、倉石のもとで働きたいと志願の末、検視補助官へ。本気で検視官を目指しているため、一ノ瀬の態度が気に入らないでいる。
立原真澄 / 高嶋政伸(たかしままさのぶ)
警視庁刑事部捜査一課の管理官。捜査一課の精鋭チームを率いており、敏腕捜査官として過去に数々の難事件を解決している。倉石とは同期で互いに力を認め合っているはずだが、常に対立しており、典型的な倉石の存在を疎ましく思っている幹部の一人となっている。
小松崎周一 / 伊武雅刀(いぶまさとう)
警視庁刑事部刑事部長。倉石や立原の上司。厄介者ではあるが、確かな見立てをする倉石を買っており、倉石を移動させろという圧力にも屈服せずにいる懐の深い上司。
一ノ瀬和之 / 渡辺大(わたなべだい)
警視庁刑事部鑑識課の検視官心得。一流大学を卒業後、警察官になり、準キャリアとしては異例の早さで出世する。その後、捜査一課の立原管理官から“検死官心得はエリートコースだ”と勧められ、現在の部署へ。万事をそつなくこなし出世欲も強いため、この役職に長居するつもりもなく、その態度が小坂からは疎まれる。しかし、倉石と関わることによって、人間的な変化が徐々に生じていく。
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